はじめに
軽くて加工性に優れたアルミニウム材料は、構造材料として、多くの分野に使用されています。
アルミニウムの表面処理として実用されている表面処理技術として、化成処理法があります。
化成処理は処理液とアルミニウムとの化学反応を利用して、アルミニウム表面に化成皮膜を 形成する方法です。アロジン処理やアルクロム処理としても知られるクロメート処理など、耐食性と塗装密着性が優れた化成処理が各種の用途に実用されています。
しかし、最近では環境保全の理由から六価クロムの排出量は厳しく規制される様になり、クロムフリーの表面処理技術が望まれています。
標準工程
アルミニウムの表面処理の一般的なフローを以下に示します。
処理は、スプレー、浸漬いずれの方法でも可能です。
脱脂では素材に付着した油分等の汚れを除去します。
化成では、クロメート皮膜や、リン酸塩皮膜等の皮膜を生成させる工程です。
必要に応じて、脱脂と化成の間に酸洗等の表面調整を施す場合があります。
- 脱脂
- 水洗
- 表面調整
- 水洗
- 化成
- 水洗
- 脱イオン水
- 乾燥
- 水洗
- 後処理
- 乾燥
脱脂
ファインクリーナー(FC)、パルクリーン(CL)シリーズ
ノンクロム化成剤の適用に伴い、アルミニウム表面の油分等の汚れを除去するだけではなく、化成処理前の表面を調整する(酸化物の生成抑制、偏析物の除去等)ことも重要な機能になっております。
アルカリ性、酸性、中性等、用途に合わせて選ぶ必要があります。ノニルフェノールを含まない脱脂剤等、環境に配慮した製品も揃えております。
化成
- アロジン(AL)、アルクロム(AM)シリーズ
アルミニウムの表面に化学反応を利用して耐食性や塗膜密着性が優れたクロム酸塩皮膜を形成するクロメート処理剤です。
主に輸送機器等、高耐食が要求される用途で使用されています。 - アロジン(AL)、パルコート(CT)シリーズ
最近では環境対応型化成剤としてクロムフリーの表面処理技術も確立されつつあります。 これらの皮膜の多くはジルコニウムやチタンのリン酸塩、有機酸塩等が適用されており、飲料缶をはじめとして、自動車部品、建材等の防食、塗装下地処理として実績があります。
その他
- パーレン(LN)
この他、エアコン等のフィン材に親水性等新たな機能を付与する表面処理として後処理剤があります。 - パーカーセラミックコーティング(PCC処理)・ニホンパーカーセラミックコート(NCC処理)
受託加工技術として、高高度のプラズマ陽極酸化(PCC処理)やSiC、BNなどのNi電解複合メッキ(NCC処理)があります。